教育の現場で表現指導をしている専門家・福島 康氏(現・帝京大学非常勤講師)は母親と子ども達(乳児や幼児)がいっしょに表現遊びをするワークショップを行っていますが、最近の母親が乳幼児としっかり目線を合わせて向き合えないことを心配しています。遊びのなかで乳幼児と向き合って「おはよう」の挨拶をしたり、ほほずりしたり、おでこをくっつけたりする仕草がぎこちないのです。なかにはそうした仕草をうっとおしそうに行う母親もいます。
かつての日本では、主婦の一日の仕事は洗濯・炊事・育児と大変な重労働でしたが、家電製品の登場や家の建て方の工夫で、洗濯・炊事に類する仕事はずいぶんと楽になりました。そうした生活を楽にする心理が子育ても楽にしたいという手抜きにつながっていなかと心配します。もちろん、主婦も仕事にでかける例も多く、子どもを保育園等に預けますから、そうした点でも、乳幼児との『濃い』スキンシップを維持するのが難しい時代に入っているのかもしれません。
しかし、子育ては文化・文明の変化には左右されない、他の哺乳類と同じ濃密な子どもとのスキンシップを必要する時期があることを忘れないでほしいものです。幼児期における母親とのスキンシップの体験(これも大切な学習です)は人格形成を大きく左右します。