サーカスの曲芸に登場する動物達は素晴らしいさまざまな芸を観客に披露して拍手喝采を受けます。また、水族館のイルカのショウーもみごとなものです。これは動物達がよく教育されているからでしょうか。残念ながらこれは調教という動物の訓練手法で成り立っているもので、人間の教育には不向きです。人間にこの手法を使って、うまくできたらごほうびをやり、拍手喝采するようなことをしていたら、幼児はほめられなければ努力しない子どもになってしまいます。ですから、「子どもはほめて育てましょう」などと単純にいいきる教育論は正しくありません。
では、逆に厳しく叱ったり、「バカ」「だめ」「へたくそ、もう一度やり直せ」などと怒鳴りながら育てるのがよいのでしょうか。いうまでもなくこんな教育をすれば、「うるさいな、僕がなにをしようと勝手だろう」などという殺風景な言葉を子どもが親に投げかけるようになって、家庭の教育はこわれてしまいます。
家庭でありがちなのは、甘やかした教育から、それを注意された親がそれまでとはまったく逆の叱る教育にシフトすることです。これはやってはならない教育から再びやってはならない教育に乗り継ぐことですから、幼児も含め子ども達の行き先は人生に脱線する方向へと走り出すに決まっています。
ものごとに取り組む子どもの意欲を引き出すにはほめ過ぎも叱り過ぎもマイナスの結果を生むだけです。日本幼児基礎能力研究会会長の上里龍生氏は子どもをほめるにも叱るにも「いいね!」「よし!」「よかった!」「えらい!」「だめ!」「めっ!」等の短い言葉がよいと話しています。そして、こうした言葉の効き目は使うタイミングや、言葉に込められる親や教師の人格と愛情に左右されるとも語っています。