大人の頭の中では、大人の体形を小さくしたのが幼児なのだという漠然としたイメージになりがちですが、これはまちがいです。どちらかというと、幼児は大人とはまったく異なる生き物なのです。このように述べると「人間の子どもは人間じゃないか」という反論が出そうですが、人間の子は人間であっても、変態しつつ成長するのです。
カエルの場合を考えてみましょう。カエルは卵→頭と尻尾だけのオタマジャクシ→後ろ足のはえたオタマジャクシ→前足もはえたオタマジャクシ→前後の足がはえ、尻尾のとれたオタマジャクシ→カエルと姿を変えます。そして、その変態する過程でのカエルの子ども達は生活や食事が成体のカエルとはまったくちがうのです。
人間もまた、乳児→幼児→小児→青年→壮年→老年と成長します。年齢を重ねるごとに同じ人間という言葉でくくったとしても、食べ物の嗜好も異なり、体形や精神の発達も年齢独自のものとなります。食事をたくさん食べるようになり、知識が増えれば幼い子どもは大人になるという、風船でも膨らませるような単純な発達をたどるわけではありません。そんなわけで、幼児期という変態の時期には幼児期ならではの教育が必要なのです。