人間はなぜ子どもを生むのでしょうか。それは他の生物と同様、自分達の子孫を残すためというのが明確な理由です。なぜなら、我々の生命には寿命があり、自分が永遠に生き続けることができないからです。
『ゾウの時間 ネズミの時間(著者: 東京工業大学教授・本川達雄氏)』という本に面白いことが書いてあります。動物はネズミのように体が小さいほど心臓の鼓動が速く、ゾウのように大きな動物ではゆっくりになるとのことです。そして約15億回、心臓がドッキンドッキンと鼓動を打ち終わるとすべての哺乳類は生涯を終わるということです。ハツカネズミなどは2~3年で、またゾウは約80年間かけて15億回の鼓動を打ち終え、死亡するということになります。人間は医療の発達、食事や環境の改善などで長い寿命になっていますが、縄文人の寿命は31歳くらいだったそうで、動物としての人間の寿命はその程度のようです。
そんなわけで、人間も他の動物と同様に『種の保存』という本能にしたがって子孫を残すことに努力します。ただし、動物や植物は自分の生命の終わりを自然にたんたんと受け入れますが、我々人間はだれもが最期まで自分の生にこだわります。そして、子育てにはそうした『永遠には生きられない自分』が子孫に託す『人間独特の生命存続』へのこだわりが深くからんでいるのです。そこでこうしたこだわりを、子育てがめざすべき三つの道という視点から考えましょう。